国保税条例改正反対討論 2005年12月20日
影 山 保
議案第71号 あきる野市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に、日本共産党市議団を代表し、反対討論いたします。
本議案が総務委員会で審議された12月13日、くしくも夜7時半からのNHK“クローズアップ現代”で、国民健康保険の構造的問題点を報道していました。国保加入者は4,720万人で、日本最大の健康保険組織であるが、4人に1人が70歳以上の高齢化で、医療費は1.4倍増えた。保険料の負担は8年間で、1人あたり6万9千円から7万9千円に1万円も増え、出口のない悪循環が続いている。しかも若い人は、「高い保険料を払うのは損だ」といって入らないのが特徴だ、と報じていました。
国民がひとしく切望してきた、病気やけがなどをしたときに医師に診てもらえる国民健康保険は、1960年(昭和35年)にほとんどの市町村で実施されました。
これは1958年(昭和33年)に、旧国民健康保険法を憲法第25条にもとづき、国、都道府県の義務と国庫負担を明らかにし、既存の公的な医療保険などに未加入である人に対する強制加入を規定した国民健康保険法の全面改正によるものでした。この改正以後、国民皆保険と呼ぶようになりました。しかし、高い保険料(税)、高い自己負担のために、充分期待に応えるものではありませんでした。
現在の国民健康保険法は、他の公的な医療保険と比較したとき、保険給付ではいちじるしく差がみられます。また国庫負担率が四割というのも国民健康保険法の目的、性格からみればまだ低率です。しかし1938年(昭和13年)に、健民健兵政策のために、そして農村に増加した貧困、とりわけ結核に犯された人たちが多い状況が放置できなくなったため、治安対策として制定された旧国民健康保険法と現行国民健康保険法では、その内容に大きな開きがみられます。
旧国民健康保険法は、「相扶共済の精神」を基本にしており、国は各市町村に実施を促す政策をとりましたが、保険給付には国庫負担をしていませんでした。
これにたいして、現行国民健康保険法には、戦後の民主化運動、人権思想の高揚、社会保障に対する国の責任がもりこまれた、憲法第25条の理念が色濃く反映されています。とくに現行国民健康保険法はその目的として、第1条で「社会保障及び国民保険の向上に寄与する」ことを規定しました。さらに同法の第4条で、「国及び都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。都道府県は、必要な指導をしなければならない」と義務付けたのであります。
この点では評価していいと思いますが、皆保険制度も厚生省が進んで実施したものではありません。労働者、市民の要求と多くの団体の運動や、自治体の要望などが反映したものです。
さて今回の国保条例改正案、値上げ案は、合併して10年5回目の値上げであります。委員会審議では、「これまで10%を超えないよう努力してきた」と、いかにも引き上げ額を抑えてきたかのような答弁をしましたが、5回の値上げで、4人世帯(給与収入500万円、固定資産税10万円)の家庭では、10年間で88,555円も負担増となっているのであります。
また今回の値上げ案の特徴は何か質問したところ、「均等割りの引き上げで低所得者に影響が大きい」と答弁されました。確かにあきる野市の収納率は、職員の懸命な努力もあり26市で上位ですが、滞納者の多くが所得の少ない人であることもわかりました。値上げの影響が低所得者に行けば、滞納者がまた増えていくのは明らかではありませんか。こんないたちごっこをしていたのでは、国保の健全財政は確立できません。どこの自治体も財政難で大変ですが、少なくとも一般会計からの繰り出し額を、26市平均並みに引き上げるべきであります。そうすれば値上げは抑えることができるのです。
国保運営協議会の「答申」をみますと、同様な意見もあります。また、国保は命にかかわる問題であり、温泉建設をやめても、国保に投資すべきであるとの意見も出されています。まさにそのとおりだと思います。国保加入者は弱い立場の人が多く加入しています。温泉ができても、行きたくても行けない人が多く生まれるのです。地方自治体の本来の仕事は、住民の健康と安全をまもることではないでしょうか。そのためにこそ、市民の貴重な税金を使うべきです。市長は、財政危機のなか、「施策を根本から見直す」といってきました。しかし、見直すどころか、疑問や不安や問題点がたくさんあり、圧倒的市民から批判がある温泉建設を強行しました。財政危機のいま、反対の多い事業に多額の税金を投資することは、自治体の責務を放棄するに等しく、絶対許すことはできません。
いま国は、国保、政管健保、組合健保の運営を都道府県単位に再編・統合を進めようとしています。これは、医療保険の財政基盤を安定させるためだとしていますが、実際は、地方に医療保険への責任を肩代わりさせるとともに、加入者の保険料引き上げにつながる中身になっています。
とくに国保の滞納世帯は、失業者の加入が増えたため460万世帯になっています。もともと財政が不安定な市町村国保を集めて、統合しただけでは安定しません。国は、「財政調整交付金の配分方法を見直す」として、負担を削減することをねらっています。ですから全国知事会は反対を表明、「現行制度の枠内で保険者を組み替えても、国保が抱える構造的な問題の解決にはならない」と述べています。安易な再編・統合はやるべきであります。
最後に、国保加入者の高齢化は避けて通れません。誰しも病気にかかりたくて病気になる人はおりません。少しでも国保会計の健全化を確立していくためには、何といっても医療費の抑制が求められます。そのためには、第1に予防医療の充実、第2に薬品使用の改善、そして第3に国の補助金を元に戻すことです。
とくに薬の使用については、新薬と変わらない効果がある、ジェネリック薬品(後発品)を使用すれば、薬代を半分以下に抑えることになります。公立の阿伎留病院でさえ、使用している薬品全体の98品目、5.3%しか使っていないのです。できるところから医療費抑制に取り組み、国保事業の健全な運営と、国民保険の高上に努めていただきますことを願い、反対討論といたします。
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